2011年2月26日土曜日

誰でも少しずつ助けが必要なんだ!

作者 平吉・A
去る十月五日、毎年恒例となっているV連・社協主催の野外交流会が開催されました。今年は富士山のお膝元朝霧高原に位置し、フクシアやベコニア等の美しい花々やふくろうが出迎えてくれる富士花鳥園。障がいのある方とボランティア達が出会いと交流を求めて百四十一名も参加し、野外交流会はスタートしました。

早朝に降っていた雨も上がり、集合場所の市民体育館駐車場には期待で笑顔に溢れる障がい者、少し緊張気味の初参加者(私です)を含むボランティアの面々が一人二人と集まり、それぞれの組み合わせを確認し
た後,4台のバスは八時三十分過ぎに予定通り出発。
談合坂に着く頃には参加者達の表情はいくらか柔らかくなり、私が担当したHさんとも徐々に打ち解け、お互いにコーヒーを楽しむ余裕が生まれてきました。バスではお決まりの参加者自己紹介が始まり、私にとって最も印象に残ったのは、重度の心身障がい者でありプロペラに通所している敦志君のお母さんの「たとえ障がいがあっても皆と一緒に楽しませたい」という愛情溢れる挨拶でした。その敦志君は、お母さんの期待に応え、富士花鳥園にいる間中、これ以上ないほどの笑顔を見せてくれました。
車窓の両側には、秋を象徴するコスモスやススキが咲き乱れる中、バスは富士花鳥園に到着。
お約束のふくろうや美しい花を愛でる間もなく、私たちはすぐ始まるショーを鑑賞すべく、傾斜も急な悪路の坂道をあわただしく降りだしました。障がい者や車椅子操作に不慣れなボランティアの中には、あまりの悪路に不安を感じそのまま居残った者、途中車椅子から滑り落ちた者や帰路に自力では坂を上がれない者もいたりして、安全面で多少の疑問を残したのではないでしょうか。しかし不慣れなボランティアが様々な協力を得て、無事坂を登り切ったのには感心させられました。またガイドさんも最初はショー見学の予定はなかったようで、少々あせっていた様です。
そしてエミュー牧場や水鳥が棲む池を抜けた広場で開催されたのは、俊敏なハリスホークと大きなクロワシミミズクがおりなす雄大な飛行ショーでした。調教者の軽妙なトークに合わせ、気難しそうな大きな鳥たちが見せるスピード感溢れるショーは、私たちを楽しませ、そして感激させました。私が最も楽しんだのは、名前を呼ばれた鳥が遥か彼方から観客の頭すれすれに飛翔して調教者の手にピタリと止まるシーンでした。鳥たちは調教者が持つ餌のネズミやひよこに釣れられてショーを演じており、腹が膨れれば後は寝てばかりの怠け者だとか、餌の切れ目が縁の切れ目との説明も障がい者たちを楽しませていました。 でも、とても鳥たちだけの話とは思えません。人間にも似たような人が何と多いことか。ショーの間、どのくらいのネズミやひよこが食べられてしまうのかなとか、調教者は鳥たちを呼ぶ時きっと「こっちの人は美味しいぞ」と密かに合図しているかもと良からぬことを考えていたのでした。
お昼は、様々な種類のフクシアや珍しいベコニアが咲き乱れる。想像を絶する美しい空間の中で頂きました。私たちのテーブルには事務局スタッフの女性が同席してくれましたが、難聴で花や鳥にも余り興味を示さないH氏とは余り会話が弾まず、ただお弁当を食べるのみで、楽しそうに会話し,美味しそうにソフトクリームを味わう周りの人たちが恨めしく感じられたものです。
出発までたくさんのミミズクやふくろうを見学したり、魚に餌をあげたりして時間を潰しましたが、買い物をするでもなく正直時間を持て余しました。周囲を見渡せば、トイレ介護や車椅子の操作に苦労するボランティアも多く、その補助をしたりしましたが、ふれあいの女性たちの応対のなんと真剣なことか。とても印象に残りました。
帰路のバスの中では、お互いに仲良くなった参加者たちの会話も進み、とても和やかな雰囲気が出来てきました。そのタイミングを見計らったように、常連の岩田さんからもう交流会の定番となったクイズの出題です。今年は身近な体に関するものでした。人間の脈拍からスタートし、顔の中で最も役割が多いものは何か?など下準備も充分で普段の岩田さんとは別人のように自信に溢れ、明るく楽しそうに話しているのを見て、まさにこのことが交流会の目的であり効果なのだと感じた次第です。
交流会が終了し、H氏から「今日はありがとう。お世話になったね。」とお礼を言われた時、以前見たブログの書き込みを思い出しました。それは塀を越えられずにいた子リスの話で、それを見ていた若者が自分のザックを塀に立てかけて踏み台を作ってやりました。子リスはザックを伝い駆け上がろうとしましたが、失敗。すると別の人が土嚢を二つ引っ提げてきて、塀に階段を作りました。茂みの陰から子リスが飛び出して、階段を伝い一気に塀を駆け上がり、心配そうに待っていた母リスと一緒に塀の向こうに消えました。これは外国の青年がブログに乗せた動画でしたが、そのブログの書き込みにこんな言葉が有りました。「誰でも少しずつ助けが必要なんだ!」と。「少しずつの助け合い」その思いがあれば別に細かいことはいらないとさえ思いました。まさにこれが今回の野外交流会で得た教訓でした。参加した皆さんお世話になりました。

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