2011年2月4日金曜日

恐怖のエスカレーター


   作者 陽だまりのベンチ

 今日は中央小学校四年生の、車椅子とアイマスク学校体験学習授業です。
開始時刻ちょっと前、待機していた校長室のドアを開けると、「私達が案内します」と、可愛い接待係が、
出迎えてくれました。

 孫を見るおじいちゃん・おばあちゃんの様に、みんなニッコリ微笑み、会場の体育館に入りました。
 プログラムに沿って、生徒全員が車椅子とアイマスク体験を無事終え、十人程の小集団に分かれ、 ディスカッションが始まりました。
 私のグループも自己紹介の後、輪の端から順番に体験した感想を話して貰おうとすると。
 「○○です、特に感想無いです。」とちょっと冷めた態度、前回訪問した椿峰小学校とは違い、ちびっこながら、手強そうな相手です。
 「アイマスクを付けての歩行、怖く無かった?」と聞くと、
 「始めてじゃないもん!」

彼の興味を引く為に、私の体験談を話して見ることにしました。
 「おじさんが住んでいる東所沢駅に、初めてエスカレーターが出来た時、それに乗っていると、突然ごとごとと、物がぶつかる音が聞こえたので、後ろを振り返ると、乗り口付近で、転倒したおばさんが、ゴロゴロと転がされていたんだ。周りに数人の人がいたけど、誰もどうして良いのか分からず、ボーゼンと見ているだけ。」

 「もし君がその場にいたらどうする?」と聞くと、
 「起こしてあげるさ。」
 「動いているエスカレーターで、大人の人を抱きかかえるのは、君には出来ないと思うけどな。」
 「それなら駅員さん呼ぶ。」
 「でも東所沢駅は、エスカレーターから駅事務室が、離れているから間に合わないかも?」
 「じゃあ、非常停止ボタン押す。」
 
「ピンポーン!、当たり、おじさんも、それに気付き、辺りを見回したんだ、そしたら、降り口横に黒いボタンを見つけ、下に何か文字が書かれていたけど小さくて読めない。でもメガネを取り出す時間も惜しく、とっさに押した、するとピタリと止まった、嬉しかったね!」
 「暫くして、駅員さんが担架を持って駆け付けて来て、おばさんを担架に載せ病院に運んで行きました。
現場には額から流れ落ちた血で、白い柄が赤く染まった杖が残されていました……」

 「今日のアイマスク体験で、目の不自由な人の気持ちが、少し分かったと思うので、もし道で困っている人を見かけ、君にも何か出来る事があったら、手伝ってあげてね。」
 「うん分かった。」前とは違い、素直な返事が帰って来た。
 それからは、みんな真剣に、感想を話す様になり、体験談を話して良かったと思いながら会場を後にしました……。
 新米ガイドボランティアの私にとって、良い教育実習でした……。 

0 件のコメント:

コメントを投稿