作者 勝也・T
今年も八校の小・中学校で体験学習のお手伝をした。この有意義な体験を通して、何を学び何を感じたかを書いてみます。
二〇一〇年九月十三日(月)「ボランティアの集い」の一日目に市役所で行われたアイマスク・車椅子の体験学習を中心に報告します。
午前十時、やって来たのは中央中学校の一年生一六〇人です。ボランティアの参加は十五人でした。
体験学習は、V連の会長さんの挨拶で始まりました。
「皆さんのように若い内にアイマスクや車椅子の体験をすることは今後の長い人生で大いに役立つと考えます。素晴らしい体験であることを祈ります。」
次は、ボランテイアの自己紹介です。自己紹介のとき私は「みなさんの前に立っている方々は私が尊敬し誇りに思う素敵な仲間です」という言葉を添えます。
私としては、この言葉に一つのメッセージを込めている積りです『尊敬する・誇りに思う仲間』という部分に「素敵な人間関係を築きましょう」というメッセージ込めています。
私にとって、ふれあいの仲間は最高の仲間です。この言葉は、外交辞令でもゴマすりでもヨイショでもありません。大人の嘘は若者には通用しません。二時間の学習を通して私たちの気持ちが、本当かどうかがわかるように努力をします。
自分にとって都合がよい人を仲間と呼ぶのではなく、自分の方が相手を尊敬し大切に思っていれば、その相手は必ず素晴らしい仲間になると私は信じるからです。
続いて、ボランティアによる実演と解説をしました。
健康で元気な中学生には目や足が不自由な人のガイドの方法を説明するだけでなく、障がい者についても伝えたいと考えています。つまり、障がい者は不幸な人でもかわいそうな人でもありません。ただ、一部に不便なところがある人なのです。その部分のお手伝いをするのがガイドですと伝
えます。
最初は、他人の目が気になったり、小さな勇気が必要かもしれません。しかし、「何かお困り事でも?」「何かお手伝いすることがありますか」と、思い切って声を出してください。一歩踏み出せば、新しい世界が開けます。
一通り説明と実演が済むと、生徒たちが体験を始めます。言われたことが上手に出来れば当然褒めます。生徒の中には言われたことが出来ない生徒もいます。出来なくても叱りません。なぜ出来ないのかを考えてもらいます。大抵は聞いていなかったり、見てなかったり、が原因です。自分で原因を発見することが大切。
実際のガイドで大切なことは状況の判断です、と伝えます。生徒は当たり前ですが一人歩きは慣れているでしょう。ガイドをする時は二人です。このことを常に頭に入れて判断し行動をします。
中学生の場合は、特に『判断』の大切さを強調したい。他の友達が体験しているのを見ながら自分の順番を待っています。この時、何を考え何を見て、どんな行動をするべきかを考えてもらいたい。やがて自分の順番が近づきます。「あなたの順番ですよ」と言われる前に自らの判断で行動を起こして欲しい。車椅子で役を交代するときも同じです。後から来る人の邪魔にならないようにとの判断が必要です。
小・中学校には色々な問題があるとよく報道されます。その報道を耳にした生徒たちはどんな気持ちになるでしょうか。頑張ろうという気持ちにはならない。
だから私は元気が出るような言葉しか言わないようにします。
例えば、世界的な視野から見ると日本ほどいい国はないよ。尖閣諸島、竹島、北方四島があって大変だ。それはそうだけど、国境で問題のない国なんて世界中どこにもないんだよ、と伝えたい。
例は一つだけにしましょう。
現在、日本という国は成長期から円熟期に変わろうとしています。成長期の国というものは活気にあふれ、エネルギーがあり生き生きしています。その代表が中国です。少々の問題があろうとも、暫くするといつの間にか問題は解決しています。
円熟期の場合はそんな大雑把なことでは問題は何一つ解決しません。
歴史や背景を調べ、いろいろなケースを考え、細かく計画し、話し合い、説明し、理解を深め、そして行動を起こすのです。上手くいかないのは誰かのせいではない。歯をくいしばって我慢しないと解決しない問題もある。腹を括って頑張る問題もある。たっぷり手間暇を掛けてねばりにねばる問題もあるのです。
他にもいろいろメッセージがありますが、全部を話すのは止めます。が、日本のこのような状況をきちんと中学生に伝えないと、いたずらに若い彼らを不安や不満、不必要な失望や諦めに陥れます。
少し視点をかえれば、日本という国は、世界中のどの国よりも素晴らしく豊かで安定した国であることに気が付きます。私はこのような気持ちで、毎回生徒たちとの体験学習を楽しんでいます。 おわり
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